色とりどりの提灯が夜空を彩っている。


そんな中、雫が目を輝かせて露店をのぞく。


そして、

べっこうあめ、

りんごあめ、

たこ焼き、

ヨーヨー釣りと、


雫があや子叔母さんへのお土産にと、たくさん買い込んでいく。


僕は、情けないことに人に酔ったのと、


露店の食べ物の匂いで気分が悪くなってしまい、


それに気付いた雫に、「もう帰ろう?」と心配されてしまった。


大丈夫だから、もう少し遊んで帰ろうと言うと、


雫は、じゃあ最後にもう一個だけいい?と顔を明るくさせた。




 雫が、真剣な面持ちで水面を見つめている。


その内、狙いが定まったらしくそうっと、紙で出来た網を水の中に入れて行く。


それを一気に持ち上げて、取れたと思った瞬間、


黒の出目金が、網を破いて勢い良く水の中に戻って行く。


その時、僕の携帯電話が鳴った。


東京の自宅からだった。