階段を降りる途中で、


階下から味噌汁の匂いがして、気分が悪くなった。


胃がキュウっと絞まった様に気持ち悪い。


胃を抑えながら、踊り場の壁に寄りかかると、


古くなった砂壁が床に落ちた。



 台所に下りていくと、


あや子叔母さんが食卓で新聞を読んでいた。


その横には、一人分の朝食が用意されている。


そして、それらの食器には丁寧にラップが掛けられていて、


余計に憂鬱になった。



僕に気付くと、叔母さんは新聞を畳んで


コップにオレンジジュースを注いだ。


「おはよう。早く食べないと遅れちゃうよ。」


「おはようございます。」と挨拶を返し、


僕は促されるがままに食卓に着いた。


ご飯と味噌汁と焼き魚と少量のサラダ。


そんな朝食が、今の僕には苦痛でしかたなかった。