前を走る安城が男とともに倒れたと思えば、安城は1人立ち上がり男のカバンに手を伸ばした。


「あいつは本当に女にしとくのがもったいないな…。」


「大丈夫か」と声を掛けようとした時、俺は男に対して怒りを覚えた。
安城が男の下敷きになってしまった。
なぜ、こんなに鼓動が早くなっている?
分からないが、早く安城を救ってやらないと!!


俺は安城の元へ足を速めた。


安城は頭突きにより、また形勢逆転したが男を完璧に仕留めたわけではない。


「安城!!!!!!」
俺は自分でも驚くような大きな声が出ていた。


俺の拳は男のみぎ頬を捉えた。
メリメリっと音が聞こえた。俺は、男の頬骨が折れた音だなと静かに感じていた。
だが、さっき抱いたこの男への怒りは沸点に達しすぎていた。


「貴様!!」
男の胸倉をつかみ、男を揺さぶったが、もう意識はなかった。


「小早川少佐のストレート決まったら、もう起きませんよ…。」


俺の後ろで安城が苦笑いしていた。