「安城、何をしている!走れ!!」



「は、はーい!!!」



背中に約30㎏もあろうかという砂袋を背負って、一周800mのトラックを走る。



走り始めてからすでに2時間は経過している。
走り始めた時は100人近くいたものの、今は12人程度であった。



その中に唯一の女性である安城 浩がいた。



「はい、そこまでー!!」



掛け声とともに隊員たちは地面に倒れこんだ。
誰一人と声を上げず、ただ肺いっぱいに酸素を取り込もうと必死である。



「安城さん、ナイスファイトだったよ」



グラウンドの上に大の字になって息を整えている所に、覗き込むような顔が現れた。



「池田少佐…、ありがとうごさいます!」



浩は大の字になったまま、敬礼をした。



「はは、いいね。安城さんを見ていると、僕も元気になるよ」



池田 潤(いけだ じゅん)少佐。
年齢28歳。
優しくて、温かくて、いつも笑っていて、女性にも人気がある。
頼れるお兄ちゃんタイプだと思う。



それに比べて、あの人は…