病院に着き花歩は検査のため運ばれて行った


「此処で待ってて下さい。この子、かすり傷があるね」


看護師さんは沙月の手足の傷に気づいた


「あっちで手当てしようか?」


沙月は俺に抱かれたまま離れようとしない


「お…にいちゃ…んといっ…しょが良い」


怖かったのを今、思い出したのか必死に言葉を繋げていた


「検査はまだ掛かりそうだから一緒に行きましょう」


看護師さんに連れられ処置室へ向かう


「此処に座って手と足見せて?」


沙月はお利口にしていた


幸い、かすり傷程度で深くはなかった


だから、処置はすぐに終わった


「検査が終わるまで座って待ってて下さいね」


看護師さんはそれだけ告げると去って行った


「沙月、なんか飲むか?」


「リンゴジュース」


俺は自販機でコーヒーとリンゴジュースを買う