「奏哉っていつも余裕そうだから慣れてるかと思った」


食べ終わったらしい花歩はサラッとそんなことを口にした


余裕なんてない


それが好きな女なら尚更。


食器を使うことのなかった俺達はゴミを分別するだけで終わった


花歩はちゃっかり歯磨きをしに洗面所に向かっていた


俺はソファーに座り、コーヒーを飲みながら花歩が来るのを待つ


“自分の過去を話す”と言った花歩に無理はさせたくない


その前に本当に俺が聞いても良いのだろうか?


「奏哉、ただいま」


「おかえり、早かったな」


「うん。話すから…」


ちゃんと話す気なんだな


「じゃあ、俺の部屋に行くか。」


いつ、母さん達が帰ってくるかも分かんないし。


なんせ、せっかくの彼女の話すという決意を母さんに邪魔されたくない