でも……試合の日。


同点、残り時間わずか。


あと一点……あと一点入れられれば勝てる。


「光輝……まだシュート入れてないな」


悠斗が小さな声で呟いた。


「あぁ……でも、チャンスはあと一回ぐらいしかないぜ」

「どうする?光輝に回すか?」


俺達はおばさんのいる方を見た。

車イスに座っていつものように優しい表情のおばさん。


「また……次があるよな」


俺はおばさんの方を見ながら言った。

次がある、そう信じて――


「……そうだよな。
おばさん、元気そうだし。
じゃあ、次ボールが回ってきたら俺にパスして」

「外すなよ」

「外すわけねぇだろ」


悠斗は小さく笑いながらそう言った。