Finale Love

「弥生ちゃんのお好きなカクテルをどうぞ」

「マスターありがと」

「いいえ」

「カクテルの色、赤ピンクでかわいいなー。
オリジナルカクテルなん？」

「オリジナルといえばオリジナルかな。
マスターが私をイメージして作ってくれたカクテルだからね」

「そうーなんや」

「うん」

「俺もいただいていい？」

「マスター。
同じカクテルもう１つお願いします」

「わかりました」

数分が経ち弥生と一緒のカクテルがyasuの目の前に差し出された。

オムライスを食べ終わったyasuは一息をつきカクテルをひと口飲んだ。

「このカクテル結講飲みやすいんやねー」

「でしょ？
でも、あまりにも飲みすぎるとあとで悪酔いするからね」

「せやな。
カクテルって基本的にそうーやからなー。
弥生ちゃんの彼氏ってどんな男なん？」

「yasuさんと同じように歌を歌ってる人。
インディーズだけどね。
地元の福岡じゃーそこそこ人気あるみた」

「そうーなんやー。
メジャー目指してんの？」

「うんー・・・。
目指してるみたい」

「そっかー・・・」

「プロの道はそんなに甘くないのにね」

「彼氏いくつなん？」

「私より年下で今年３１歳になる」

「３１でインディーズかー・・・。
ちっとキツイなー」

「私もそう想うんだけどね・・・。
だけど、本人はあきらめてないから」

「そうーなんやー。
弥生ちゃんもなんだかんだで大変やなー」

「yasuさんと比べちゃいけないけど、まだまだ私なんて序の口だよ」

「俺がもし女やったら、そんな男は正直イヤやな。
弥生ちゃんはイヤだと想わないの？」

「正直、辛いなとか、イヤだなとか、なんでそうなるのって、想うことはあるけど、それを全て含めて『好き』って思えて言えることが１番大切なことだと私は想うから」

「たしかに弥生ちゃんが言ってるとおりやな。
なんか、弥生ちゃんの彼氏が羨ましいわ。
彼氏にヤイてまうわ」

「yasuさんが焼いてどーすんですか？」

「俺だって１人の男なんだから、そう想うときだってあるんよ」

「yasuさんには何千万人ってファンがいるじゃないですか」

「弥生ちゃんに言わしてもらうけどなー」

「なんですか？」

「たしかに何千万人ってファンはいるよ。
でも、俺のことを本当に大切だって想ってくれる人は誰１人いない。
それが今の俺の現実」

「yasuさんー・・・」

「こうやって話すのも久しぶりやな。
なんか知らんけど、弥生ちゃんの前なら俺が俺らしくいられる」

「yasuさん、少し酔ってるんじゃないんですか？」

「せやな・・・」

「そろそろ行きますか？
このままここにいたらyasuさん寝そうですから」