がむしゃらに走って着いた場所は屋上。
ボケーッとフェンス越しにグラウンドを見下ろすとサッカー部が活動している。
あたしバカみたい…
自分に言ってくれなかっただけで嫉妬して。
いつの間にか蓮斗を独占したかったんだね。
縛りつけちゃダメなのに…
あたしって最低かも…。
夏の生ぬるい風にあたりながら、ひたすら空を眺めてると重たい屋上の扉が開く音がした。
「陽葵ー?」
「えっ、あっ、梨結ちゃん…」
屋上の出入口には梨結ちゃんが立っていた。
「もー!どこ行ってたの!探したよ!」
「ご、ごめんね……ちょっと風にあたりたくて、さ」
「…はぁ~…嘘つき」
「え?」
「嘘ついてるのバレバレ。他に理由あるんでしょ?あたしで良ければ聞くよ?」
梨結ちゃんは、フェンスを背もたれにして座る。
その隣にあたしも座った。