なんであたしじゃないの?
彼女のあたしじゃなくて、他の子には言うんだ…。
もどかしさと切なさが入り交じる。
蓮斗から話を聞きたい。
そう思ったあたしは休憩に入ってから、蓮斗を部室に呼んだ。
「どーした陽葵?」
得意げに指でボールを回しながら首をコテンと傾げる。
「なんで怪我してること言ってくれなかったの?」
「心配かけたくなかったから」
「…な、なんであたしには言わないで他の子には言うのよ…」
「だーかーら、陽葵が心配すると思って」
心配かけてほしいのに…。
あたしって頼りないのかな?
気づいたらあたしは、その場から走って逃げていた。
走って走って…
体育館から離れた場所に行きたくて。