涼しい風とともに、あたしの黒髪がなびく。
ぎゅうっと蓮斗の背中にくっつけば鼻をくすぐるいい匂い。
「どこ行くのー」
「もう見えて来たよ」
「…海?」
「ピンポーン」
蓮斗があたしを連れて来てくれた場所は海。
空が真っ暗だから時計が無くても夜中だってわかる。
その真っ暗の中に光るいくつかの星はすごくキレイ。
「寒くない?」
「ん、大丈夫」
あたしが砂浜に体育座りをすると、蓮斗はあたしを脚の間に入れるようにして座った。
なんだか頬が熱くなってきた…。
「部活忙しくてデートしてあげらんなくてごめん…って言い訳か」
「全然!そんなこと…」
「彼女に我慢ばっかさせるのヤダからさ」
「我慢してないよ」
練習で忙しいのに…
蓮斗の方が色々我慢してるに決まってる。

