寝静まった夜中、あたしの側に誰かがいるような…
そんな感覚がした。
「…り。…陽葵」
大好きな人の声。
薄く目を開けて、コンタクトを入れてないボヤけた視界に映る蓮斗。
「蓮斗…?」
「そっ蓮斗。起き上がれる?」
「え、うん……」
「じゃっ行こっか」
蓮斗に腕を掴まれながら、ふらつく足とハッキリしない視界で階段を降りてく。
寝ぼけてるのかな……あたし…。
合宿所を出ると少し肌寒い風があたしを包む。
あれ…?
ここは外?
なんであたしと蓮斗が外にいるの!?
「デートしよっか?」
「え…?」
「あー…いいもん見っけた。後ろ…乗って?」
「二人乗りダメじゃない?」
「いいから、いいから」
合宿所に停めてあり錆びた鍵もついてない自転車。
半ば強引に二人乗り。

