【陽葵side】
教室の窓から見える大きな木。
葉の色は鮮やかな緑から茶色になり、ひらりと落ちていく。
受験勉強も追い込みのこの時期。
あたしは塾に通い始めたせいで、蓮斗との時間も大幅に減った。
寂しい……
だから塾がない日はなるべく蓮斗との時間を作るわけで。
「陽葵!今日は塾?」
「ううん、ないよ!」
「マジで!じゃあ帰るべ?」
「うん!」
塾のない日は蓮斗と一緒に帰る。
そしてその帰り道に、カフェに寄って二人で勉強をするのがいつものパターン。
「はぁ~…もう数学とかさっぱりわかんねー」
「受験生がそんなこと言ってちゃダメだよ」
「陽葵は頭いいからだって」
「よくないよ。だから勉強してるの」
勉強を大の苦手とする蓮斗には、この時間が少し苦痛みたいだけどね……。