玄関に行くと数人、部活動の生徒が出入りしている。
まだ夏休みだけど、俺はもう来ることないのか…。
つまんねーのー……。
「蓮斗!お待たせっ」
「帰るかっ」
「うん。あっ!あのね!陽葵先輩の彼氏カッコいいですねって褒められちゃった!」
「マジでか!え、あのマネージャー?」
「そうそう!」
自慢気に話す陽葵はどこか嬉しそう。
そんなに嬉しそうにするなら、俺やっぱ陽葵の彼氏でよかった。
学校を出てしばらく歩くと駅の方向へ出る。
「蓮斗。駅の本屋さん行ってもいい?」
「ん?いいけど…。陽葵って本とか読んだってけ?」
「ううん。ちょっと、ね」
駅にある本屋に入ると、びっくりするほどの小説の数。
でも陽葵は小説になんて目もくれず、真っ直ぐ歩く。
着いた場所は、棚にびっしりと大学受験の参考書が並ぶ本棚。
そっか…そいえば受験だったな。

