出し物をやっと終了させた俺のクラス。
時間は7時、花火が始まるまで30分はある。
とりあえず陽葵に連絡つけよう……
着信履歴から陽葵を探して電話をかけて、俺のとこまで来てもらう。
あと30分で最高にキレイな花火見せてやるから……。
「蓮斗……花火始まっちゃうよ?」
「もう少しで始まるな」
「そうじゃなくて!…早くグラウンド行かないと見る場所なくなるよ…」
「だって、ずっと見上げてたら首痛くなんねー?」
「それが花火だもん…」
俺のブラウスの裾を引っ張り急かす。
ここからが、グラウンドで見るよりキレイに見えるから。
机と椅子が雑に置かれた空き教室。
電気もつけず真っ暗な教室内は薄気味悪い。
「蓮斗!行こうよっ…」
「大丈夫だから。こっから見るぞ!」
「え~……」
その瞬間、バンッとデカイ音を鳴らして黒い空に赤と黄色の花火が一発。
キレイに咲かせて、静かに散る。

