【陽葵side】
体育館に響く外の雨の音。
ジメジメした6月の放課後の体育館で蓮斗はあたし達にメンズ雑誌と名刺を1枚見せてくれた。
事の発端は昨日の放課後。
律唏くんと蓮斗で駅をブラブラしてると、有名モデル事務所からスカウトされたとか。
「んで、名刺もらったわけで…」
「なんで蓮斗だけスカウトされて俺はされないかなぁ~」
「普通に考えて律は選ばないわよ…」
「やっぱりすごいね…蓮斗」
あたしと梨結ちゃんはびっくり。
律唏くんはガッカリ。
「まぁ…でも、モデルとかっていい経験じゃない。やってみれば?」
「ズルいぞっ!蓮斗だけ抜け駆けすんなんてっ!」
「ん~……どーしよっかな…マジで…」
本気で悩む蓮斗に何も言ってあげられないあたし。
モデルの経験はとてもいいことだと思う。
でも、有名な蓮斗はちょっと寂しいかな…。