【陽葵side】



少しまだ肌寒い5月の朝。


学校へ行くため朝食のトーストを一口食べるあたしの目の前で珍しくお母さんがコーヒを飲んでいた。


いつもなら仕事で朝なんてバタバタしてるのに珍しいね…。


「陽葵~話したいことあるんだけど~…」

「うん、いいよ。なに?」

「お父さんの海外出張に着いて行くことになったの。長くて申し訳ないんだけど、2ヶ月間」

「えっ!!2ヶ月間!?」


食べかけのトーストを一度お皿に置き、お母さんの顔を覗きこむ。


あたしを見て苦笑するお母さん。


あたしに至っては失笑なんだけど。


「予定では陽葵が夏休みに入る頃に戻って来るから」

「と、とりあえず頑張ってみる!」


2ヶ月間は一人暮らしみたいなモンでしょ?


あたしに一人暮らしなんてできるの!?


不安がたっぷり…。