蓮斗と二人で歩く道には、うっすらと雪が積もってる。
吐く息も白い。
蓮斗と繋ぐ手は少し冷たい感じがする。
会話がなく足音しか聞こえない沈黙を破ったのは蓮斗が先で……
「なんか今日の陽葵……匂いがしかない」
「えっ…?なんのこと?」
「香水」
「あー…うん。今日はつけてないの…忘れちゃったみたい」
「…そっか」
優しく笑った蓮斗。
あたしのこと、いつもちゃんと見ててくれたから知ってるんだよね…。
香水をつけてると、蓮斗が思い浮かんでダメなの……
『別れよう』って言葉が出てこなくなっちゃう。
「雪…降ってるね」
「降ってるなぁ」
だけど、結局別れ話は切り出せない。
別れたくないけど、スレ違ってるままは嫌だから………
距離を置くだけ。

