陽葵とはまだヤってないけどさ…
大切すぎて壊したくないってのが本音。
「ちょっと汚いしっ!…で?どーなの?」
「はぁ?まだ手出してねーよ。キス止まり」
「え~レンらしくないな。昔はすぐ女に手出してたのによ」
「それは昔。今は陽葵にしか本気じゃねぇから」
確かに陽葵と会うまでは『一途』って言葉が俺にはなかったし。
陽葵と会って恋の仕方が変わった。
「そっかぁ~…。どうしよ、あたし…」
「ちょっ、なんだよ」
ベッドに胡座をかいて座ってた俺を後ろから抱きしめてきたルリ。
背中があったかい。
「お願い…お願いだからぁ……今だけあたしのレンになって」
「ふ、ふざけてやんなよ!そうゆうの…」
「本気だよ。…今だけでいいからっ…」
切なく話して、俺に回してる手が微かに震えてる。
その冷たく震えてる、真っ白な手を静かに握った。

