【蓮斗side】
こんなに長時間好きな子と一緒にいれるって幸せ。
バスケできなくても、陽葵といたら自然と笑って明るくいれる。
「ちょっとみんな~!劇係から要望が来ましたよっ」
恵梨菜ちゃんは、俺らが活動する空き教室の扉を豪快に開けて来る。
「シンデレラのガラスの靴を低コストで作って♪だそうです」
「低コストってどうゆうこと?」
無造作に積まれた机の上に座りながら律唏は聞く。
「いくら安い値段で作れるか、ってことだよね?」
「まぁな~…ドレス代だけでハンパないんだろ」
首をコテッと傾げる陽葵の仕草がまたかわいい。
シンデレラだの、意地悪なお姉さんだのドレス代だけですごいことになってる。
だから低コストでガラスの靴を作れと…。
「で、これがシンデレラ役の子のいらないヒール。これにアルミホイルでも付ければいいんじゃない?」
「アルミホイルって、ほんとに低コストだな」
「蓮斗に同じー。梨結ちゃんがシンデレラなら俺、ちゃんとガラスの靴にするよ」
「ガラスの靴って普通に売ってるのかな?」
「梨結ちゃんのためなら探すよ、俺」
梨結ちゃんに対する愛がハンパないコイツは置いといて…

