鬱になれる短編集

鈍い音。
銃口が向けられた音だった。
親友はいつ死んでも構わないといった能面顔の持ち主だったがここぞとばかりに

蒼白した。

狙撃手である親友は臆病だ。それゆえスコープで敵の有無を確認した。何度も。しかし見落としたらしい。

親友は立ち上がる。振り返り自分を殺す者の顔を目視した。