慶応四年 四月―‐

「近藤さん、いるか?」

土方が近藤の部屋に入ってきた。部屋にいた近藤と美桜は土方が厳しい表情をしていてこれは良からぬことがおきたと悟った。

「何があったんだ。トシ」

「敵に囲まれている」

「…っっ」

確かに兵に囲まれている。

「近藤さん、俺がここを守っている間に逃げてくれ」

「いや私がいこう」

「「「…っっ?」」」

「それはできない」

「局長の命令でもか?」

命令と言われて土方は渋々承知した。

「土方さん行きましょう」

横にいる斎藤が促す。

「…あぁ」

「美桜ちゃん、みんなを頼んだよ」

最後の近藤の言葉は悲しげでなぜか寂しく思えた。

「はい。命に変えても」

「命にはかえなくてもいいよ。自分を大切に。」

「はい。必ず」