慶応三年 三月末ー。 伊東が分離すると言い出した。伊東についていく隊士の中には平助と斎藤がいた。 「斎藤さん…」 「…」 あまり伊東と面識のない斎藤がなぜ伊東についていくのか美桜は知りたかったが聞けなかった。 「ここでの桜を見るのも何度目だろう…」 「…」 「違う世界を見てきたいと思う…」 「…」 斎藤が去っていくのを美桜は見つめていた。