桜幸恋華


(んっ……?)

いくらまっても刀は降りてこない。美桜はゆっくり目を開けた。

「土方さん…?」

そこには土方さんがたっていた。

「すまんがこいつは俺らの仲間なんだよ」

「幕府の犬が僕にかかってくるのか」

「幕府の犬はなぁ。幕府に忠実なんだよ。それに自分達を誇りに思っている」

「誇りの字を間違っているんじゃないか?」

「どういう意味だ?」

「埃のように汚くはかないものたちのことだろう?」

「なにぃ?」

土方は怒りに身を任せて剣を振った。

だが桜鬼は少し離れて煙だまを投げた。土方の体は痺れて動くのもきつい状態になってしまった。


「つっ……。」

桜鬼は止めをさそうとした。

「だめーーっ」

美桜が二人の間に入ってきた。
「美…桜?」

桜鬼は悲しそうに美桜をみた。美桜のお腹を刀は通り抜けていた。だがまだ美桜に息はあった。

しびれがとれた土方は美桜を抱き抱えた。

「白神…」

「私は…大丈夫…です…すぐになおる」

桜鬼は姿を消していた。

「私は…土方さんに…美桜ってよんで…ほし…い…な」

「美桜。屯所に帰るぞ」

「はい…」

美桜は意識を手放した。