夢みたい。


まだ幻を見てるのかな。


頭がほわほわして、現実なのか、そうでないのか分からない。



だって、あの明王寺 夢だよ!?


あの天下の明王寺家の当主だよ…?



「…恥ずかしい〜!」


そんな人を名前で!『夢さん』って!



ばかばかばかばか!


私のばかぁ〜!



「うぅ…」


「なにその獣みたいな声。」


いいでしょ、このくらい!


っていうか、誰!?



ソファで丸まっていた私は、ぐるっと勢いよく振り返ると。



「なんだ、結(ユウ)か…」

そこに立っていたのは、私の弟の結だった。


「何だってなんだよ。せっかくお前のためにスイーツ買ってきてやったのに。」



私の前のテーブルに小さめだけど、とてもおしゃれな箱が置かれた。