「ん……、」


身体の痛みに耐えがねて起きた。

そんな気がするほどに、軋む体は悲鳴ばかりをあげている。

ぐ、となんとか腕に力を入れて上半身を起こして、その時点でもまだ瞼が開いてくれないくらいにだるかった。


まるで、睡眠薬でも飲んでしまったかのよう———……とは、眠ってしまっていた凛にはわからぬことだろうが。

事実、念のためと睡眠薬を飲まされ、この地下牢にある硬いベットの上に移されていたのだ。


「なに、これ、……ど、こ…?」


驚きに声がかすれる。

寝起き特有のものではない、ただただ驚きのために掠れたものだった。


確実に、おかしいということだけがわかることなれば、状況の把握は到底叶わぬ唐突なもの。

せめて周りに人は居ないのかと辺りを見回し、しかしてそれも叶わぬ。


よくよく思い返せば、最後意識のある時近くにはシンがいてくれたはずだ———……自分を守ってくれると言ってくれた、シンが。


けれども、その姿もまったく見えないとなれば不安であるだけではすまない。

「シンさん?」

返事が返ってこないとわかっていながらも、そう呼びかけずにはいられない。