「生贄の儀式が始まる前に、凛を助け出さなければならないな。神威」


「……あぁ。儀式が始まる前では遅い。儀式の準備が始まる前じゃないか」


「もっともだ」


チッと五木が舌打ちをする。


「何処に幽閉するのか、村人の奴ら話し合いしねぇで解散しやがった。話すまでもなく決まってるってかよ」


「……過去、逃げようとして幽閉された生贄の巫女は沢山いるからな。その分、牢は幾つかあると思うが」


「この場合、凛にとって逃げにくい牢よりも俺たちからして見つけにくい牢を選ぶんじゃねえの」


瞬間、五木と神威は黙る。


沈黙。

ふ、と笑ったのは五木か神威か、あるいは同時だったか。

顔を見合わせて、お互い笑い合う。


この場合、二人が考えていることは同じであろう。

不敵な笑みの裏。


ーーー………(ま。どこだろうが、俺たち二人なら問題ないな?)