ゆっくり休めと、あの黒髪を撫でてこの部屋にきたシンは、それを思い出しては僅か瞳を伏せる。

全ては、己の失態が招いた事態であると。


「………あぁ」


「さてどうされるか」


最早シンの表情は無く見えた。

些かに伏せた瞳はただ一点のみを見続け、淡々と受け答えをし、その頭の中心の内では何を考えているのかとんと検討のつかぬ程に。

そうして声には抑揚がなく、千夜もイラリとしたように眉を寄せる。


今にも躍りかからんと右手が握られ――……た瞬間に、それを制するように立ち上がったのは百夜だ。


「私め、提案がございまする」


長老に向かい、手を上げて。


「良い、発言せよ」


承諾を得れば、一度頭を下げた。


「いっそのこと、凜様を閉じ込めてしまえばよかろうと思いまして」