「お前。自分のしたことの、重大さをわかっていられるか?十二分に、これ以上はないほどに」


ずらりと村人が並ぶ。

中心にいつになく険しい表情をした村長が座り、狭くさえ感じる広間に。


凛と、しかし厳しく尖った千夜の声が通った。


「わかっている」


向けられた本人とは、シンである。


「俺が守護対象から目を離した為にあんな事態……凜が拐われた挙げ句、その犯人を捕まえる事ができなかった。そういうことだろう」


「そう、そうであるな。わかっている。わかっている、……だけでは足りないな、シンよ?凜様が今、どのような状態に陥っていられるか。知らぬわけではあるまい」


部屋の中がざわりと沸き立つ。

おいたわしや、大丈夫だろうか、と凜を案ずる声が小さく囁かれたからだ。


あのあと、倒れてしまった凜が目覚めたのはこの屋敷について布団に寝かされてから数時間経った後だった。

表情には明らかな疲労の色が見え、やはり五木と神威からいい扱いを受けていなかったのだとは一目瞭然であるに。