「え、違うよ太一君。二人いたよー?」 「え、まじ?二人いたの?」 「ね、有菜ちゃん。二人いたよね」 そう言って花が有菜へと同意を求めれば、有菜はこくんと頷いてから凜を見上げた。 「二人の、おにーちゃん……。茶色い髪のおにーちゃんと、綺麗な、金色の髪のおにーちゃん」 「二人……?」 茶色はまだしも、ここに向かってくる間に会った村人の中でそんな金色の髪色をした男がいただろうか。 シンを見上げ、不安げに瞬きをする凜は頭の中で一瞬だけ不吉な予感が走る。