「えっ!あの、五木、さん?」


「乗れ。そのままではこの森の道を歩くのは辛かろう」


「いえ、で、でも……!」


「何度も言わせるな。それに、ここまでついてこれただけで上出来だと思えば俺だってこれくらいはしてやらぁ」


自分が気付かなかったせいで凛を傷付けてしまったことの戒めであるとは言わぬけれども。

それは本心なれば、凛が背に乗るまで跪くのをやめぬと申す。

恥ずかしげに、困ったような表情で、凛はそっと五木の背に触れ、そして体重を、体を預けた。


「あ、の。すいません、重いかも、しれませんが……」


「んな事ねぇ。むしろ軽いくらいだが、お前ちゃんと物食ってるかよ?」


そんな事を言いながら、よいせと軽々立ち上がった五木の背の、なんと逞しい事か。

まさかすべての体重を預けるなんぞ恥ずかしくて仕方がなくて、凜にできるはずもない―――……どは、五木もお見通しの。


「変なところで遠慮してるんじゃねえよ、……っとお!!」


わざと重心を前に移しては、凜の体制をふらつかせて己にしっかりとつかまれるようにしてやったり。

まんまとしてやられた凜はといえば、もとより運動神経があるわけでもなければギュウと五木にしがみつき。