さて何が起こったものか、全くもってわからぬのは凛のほうだ。

ドロンと煙に驚き長めの瞬きを一つ、気付けば暗い暗い夜中の森の中。


「そうキョロキョロと不安そうにするな。俺はここにいる、ほっぽりだそうってんじゃねぇんだからシャキッとしてろや。うっとおしい……」


心の声までもこぼれてしまってるような、……というよりかは隠そうともしていない。

少しばかりむっとして見上げるに、五木の顔からは何も読み取ることはできない。暫く見ていれば、ふと五木の方からこちらを向いてくれた。

ばちりと目が合えばまた数秒、お互い何も言うまでもなくしかし緊張感溢れてじっと見つめ合う。

その数秒は、あまり心地の良い時間ではなかった。


「………五木さん?」


「なんだよ?」


恐る恐る声をかけて見れば、五木はまたふいと視線を外し遠くにやった。


「ここはどこでしょう?一体何があって、私はあんなところにいたんですか?そうだ、シンさん。シンさんは、どこにいるんですか?それから……」


「あぁ、まて、まて」


「………なんですか?」