頭は徐々に冷静になりゆく。


そうして口を開くは、先ほどから自分に語りかける声に従い、自分を守ると言ってくれたあの人の名を呼ぶためである。


大丈夫、きっと大丈夫。


シンさんなら。


そんな感情が湧き上がってきて、心がいっぱいになった。


「シン…………!!!!!」


敬称をつけずにその名を呼んだのは初めてだ。

そして、


「凛!!!!!」


この声が、こんなにも頼もしく安心できて、心強いものであると感じたのも初めてで。


やっと目が慣れてきてなんとなく見えるようになってきた暗い闇の中から見えたシンの姿に、安堵し笑みがこぼれる。


「凛、……良かった、いきなりお前の声が頭の中に響いてきたときは驚いた…!」


対象的に、シンは切羽詰まった顔から安堵がまじり、そして困惑も混じりというところか。


ガシャン!と鉄格子に手をかけ、ギリギリのところまで体を寄せ。

できる限り凛に近付こうとするもやはり鉄格子が邪魔で邪魔で。

苦虫でも噛み潰したような顔になる。