「じゃ、私は用事があるので先に帰ります。」
教室のドアの前で敬礼ポーズをして
光は帰っていった。
「ふー…」
私も教室から出て
廊下を歩く。
タン……タン…
私の先の階段から音が聞こえてくる。
いつもなら普通の事なのに……
なぜか、違和感があって……
でも気のせいと思いそのまま歩く。
ちょうど、私が階段の所に入る角で…
「わっ……」
人に当たりそうになって私はそのまま
よろける。
ぐいっと…よろけずに
私はその場に立つ。
「ありが…とございます」
私はそう言って、
その場から立ち去る。
下駄箱まで歩くと…
その場に私は崩れる。
あぁ…神様のいじわる。
さっき当たった人は……
ゆうとくんだった。
久しぶりに面と面で向かった。
ゆうとくんは変わらずゆうとくん。
最後に『あいかっ!!』と呼んだ。
だけど、私は振り返る事はできず……
ヤバイ…また泣きそう。
久しぶりに会って…
声を聞いて、ゆうとくんを見れて……
きっと、これがゆうとくんと最後だったのかもしれない。
奇跡なんて…
舞い降りてくるはずがない……
期待したらきっと私自信が傷つくだけ。
…さっき…昼休みに光に言われた事を思い出す。
『あきらめたらそこで終わりだよ?だから最後は、ちゃんと向き合うか…ケジメをつけるしかないと思う。』
向き合うか…ケジメ…
私はどちらの選択をしようか迷いながら
夕暮れの中、
ゆっくり足を進めた。

