「万里ちゃん!?」 あたしが何か喋る前に、蒼太の慌てたような声。 「なに?」 あたしは冷たく返した。 「なにって…。どうして電話に出てくれないのさ。何度も電話したんだよ?」 「あの人は誰?」 蒼太の質問には無視して自分の質問を押し付けた。 「え?あの人…?」 電話越しの蒼太は戸惑っていた。 「今日、仲良く一緒に歩いてた」 「あー、坂口さんのことかな。見てたの…?」