「おまえ、バカだろ」

「………」



次の日の、朝練が終わった後。

着替えも済んで教室に向かう途中、ヒロが無表情でバッサリ言い放った。



「……うん、わかってる、自分でもわかってるんですけどね……!」

「最強にバカだなおまえ」

「さらに追い討ち?!」



容赦ない暴言に、俺は目を剥いてつっこむ。

けれどもヒロは、そんな俺を冷ややかに一瞥するだけ。

この態度だけでもかなりへこむけど。だけど、それよりも今俺の胸には、深く突き刺さってるものがあって。



『……ッ、』



昨日の、走り去る直前の、琴里の表情。

ひどく傷ついて、泣き出す寸前のカオ。

……俺が、そうさせた。