気がつくと、日は高かった。 「う……」 体が重い。 髪にも体にもシーツにも、徹の残り香が絡んでいた。 部屋を出て下へ降りていくと、台所から出てきた人間とぶつかりそうになった。 「あらぁ坊っちゃん!熱は大丈夫なんですか?」 「あ……フキか」 この屋敷の台所を一手に預かるフキは、手におかゆを持っていた。 「徹は?」 「徹さんなら、薬買うついでに教会によるって言ってましたよ」 「そう……」 フキのおかゆを一旦待って、教会に行くことにした。