言い返す言葉が無かった。


『病気の心音の気持ちは健康な私にはわからない』


心音は目に涙を溜めてこちらを見ていた。


でも、負けず嫌いな私の口が言い返そうとする。


「そうだよ。わかんないよ!
そんなに弱い心でいるから病気良くならないんだよ!」


気付いた時にはもう遅かった。


『言った言葉は取り消せない』



『口は災いの元』


中学の時に痛いほど感じたことだったのに。

慌てて私は「ゴメン」と告げようとした。

でも心音は目に涙を溜めて唇を噛んで苦しそうな顔をしていた。

そして


「帰って!!」


と、病室に響くぐらいの声で叫んだ。

私はとりあえず病室を出た。

どうやって高校までたどり着いたのか分からない。