「秋野くん!」


雪崎が駆け寄ってくる。

肩の下辺りまで伸びた髪をシュシュで一つに束ねている。

雪崎らしい私服で制服より3割り増しで可愛く見える。


「この子ね私の親友の笹谷心音」


車椅子に乗っている子の肩に手をのせて雪崎は言った。


笹谷と呼ばれた女の子は黄緑色のボーダーのワンピースに白い薄いカーディガンを羽織ってカンカン帽をかぶっている。

髪型は長い髪の毛を下ろしている。


「笹谷心音です。よろしくね」


笹谷がニコッと笑った。


「あ・・・はい。よろしく」


言葉がつまりちょっとそっけなく返してしまった。



「じゃあ、行こうか!公民館はココの交差点を渡ってちょっと行った所なんだ」


雪崎が笑顔で言った。
雪崎が笑顔になるとちょっと不安になる。
この笑顔にはなにか裏がある気がするんだ。