「仕事、終わった後話があるの。
この前みたいに迎えに来て」


あれ?
これは誰の声だ?

オレじゃないよな。
もしかして沙菜?


沙菜はそう言って診察室の中に入っていった。

ハッと我に返って慌てて車で学校へ戻った。


その日はずっと仕事が手に着かなかった。

給食の配膳中には汁物が入った器を落とし、授業中にはチョークを3本を折ってしまった。

校長には「児童に迷惑だからもう帰っていいよ」と嫌味を言われた。


7時頃になって沙菜の事を病院の裏門で待っていた。

話って何だろう…


「もう会いたくない」とか?

「顔も見たくない」とか?


1人で考えれば考えるほどマイナスな考えになってしまう。


「コウ!ゴメン。
急な患者さんが入っちゃって…」


沙菜が息を切らしながら走ってきた。


「全然。話って何?」


オレが聞くと沙菜は急に真顔になった。