「ゴメン。今日は夜勤だから」


嘘をついた。

本当は話すのが怖かったんだ。


この4年間、1日も忘れた日なんてなかったよ。

今何してるんだろうって。

私の居ない所で誰かを愛しているのかなって。

忘れたかったのに。

話すとあなたの胸の中に飛び込んでしまいそうなんだ。
私には幸せになる資格ないんだから。

私が好いている人はみんな居なくなるから。


「そっか。携帯の番号…オレ変わってないからいつでも連絡して」


彼はそれだけ言って立ち去った。


私はホッと息をついてまた仕事を再開した。


9時頃、やっと仕事を終わらせて病院を出た。


「まったく、ほかの先生みーんなさっさと帰っちゃうんだもん…」


雪崎先生は若いからこれくらいの仕事頑張れるよな?

なんて言って私の机に新たな仕事の書類を置いて帰ってしまう。

文句を言いながら駐輪場へ向かった。