コウと別れてから4年。

季節は5月。

私は県内だけど地元から車で2時間以上の場所にある総合病院で内科医として働いている。

今でも、周りの人間とは一定の距離を開けて過ごしている。


「少しノドが腫れてますね。
念のため頭痛薬も出しときます」


診察を終えてナースにカルテを渡した。


「小学校で体育の授業をしていた女の子が熱中症で倒れて間もなくこちらへ運ばれるそうです」


事務の人が診察室に入ってきた。


「え?私、小児科医じゃないんだけど…」


小声で文句を言う。

そうだ、今日は小児科医が休みなんだ…


「わかりました」


小さく頷いて患者さんが来るのを待った。



数分後、診察室に小学4年生くらいの赤い顔をした女の子と若い男の先生らしき人が入ってきた。


「熱中症だそうですね。
今の気分はどうですか?」


「頭、痛い…それに少し気持ち悪いかも」


小さな声で答えた。