それから1週間後、沙菜と久しぶりに会った。


「久しぶり」


オレが声を掛けると沙菜は頷いた。


「最近、ゴメンね。
心音が居なくなった現実、なかなか受け入れられなくて」


「そうだよな…
10年も一緒に居た親友だもんな」


オレが言うと沙菜は「14年だよ」と付け足した。


「まだ、病室のベッドにいるんじゃないかって思っちゃうの。
また、あの笑顔で『沙菜』って呼んでくれるんじゃないかって…」


そう言うと沙菜はワッと泣き出してしまった。


「ご、ゴメン‥ねっ…堪えて…っ…たつもりなんだけど…っ」


「うん…我慢するな。泣きたいだけ泣きなよ」


沙菜の肩を抱き寄せると沙菜は本格的に泣き出してしまった。

彼女の涙は次から次へと出てきてオレのシャツを濡らした。


「ふ…っ…っ‥う…っ」


沙菜はそこから30分ほど泣いて少し吹っ切れたような感じになった。