「お互いの夢があるだろ？

だからその夢がお互い叶って一人前になったらその時はオレと結婚してほしい」


オレの言葉に沙菜は涙をポロポロと流した。


「は、はい！」


沙菜が大きく頷いた。


「ありがと」


オレは沙菜を抱き寄せた。


この幸せがずっと続くといいな…





オレ達が帰省して２週間が経った時だった。

心音さんが亡くなった。
何の前触れもなく突然と。

心音さんはその半年前から入院してたという。


見舞いに行った沙菜と病院の売店に向かって歩いていたらしい。

パジャマを着て点滴を引きながら。


買い物を終わらして病室に戻ろうとした時、廊下で倒れてそのまま…

原因は心臓発作で眠るように口元に笑みを浮かべていたという。