沙菜と出会ってから5年が経とうとしていた。

苦労して入った大学も今日で卒業。


オレは教師になる夢を叶え、4月から高校に赴任する事になっていた。

沙菜は4月から地元の病院の研修医として働くことになった。



卒業式が終わり、オレは真っ直ぐ沙菜の寮へ向かった。

卒業から2日後、この寮を出て実家へ帰るらしい。


「荷造り、進んでる?」


沙菜の部屋へ入ると荷造り真っ最中だった。


「そこそこ。
東京暖かかったから向こう行って身体がついていけるか不安」


沙菜は顔をしかめた。


オレも一人暮らしはやめて実家へ帰る予定だ。

赴任する高校が地元だから。


「沙菜」


ずっと大学を卒業したら言おうと思ってた言葉がある。


「何?」


沙菜が振り返るとオレは口を開いた。