それでも好きだよ。

次の日から沙菜は色々な大学の資料を片手に持っていた。

ちょっと切羽詰まったような険しい顔つきで穴が開くほど見つめていた。


そこから1週間が経ち、オレの朝練が終わって早く教室に戻ってきた時だった。



「ウチんちは、経済的に国立しかダメって言われたんだよね」



今日は片手に持っているのが大学の資料じゃなくて参考書に変わっていた。

大学名が書いてあるから志望校が決まったらしい。



「S大の医学部って結構レベル高くなかったっけ?」


オレが訊ねるとコクリと頷いた。



「資料見ててね、その学費と場所が一番いいと思ったんだ。
私の学力じゃ今は少し足りないんだけどね」



「へぇ・・・それはオレもだよ」



オレが受験したい大学もオレの学力じゃ少し足りない。

先生は夏からが本番だって言ってたけど。