それでも好きだよ。

家路を歩いていると沙菜がこんな事を聞いてきた。


「ねぇ、コウの夢はなに?」






かぁ・・・



「オレはとりあえず大学に進学。その後の事はこれから考えるよ」



正直に話した。



「うん」



「バスケは好きだけどプロになりたいって思ったことは無いし。
やりたい事もみつからないから。
オレのペースでゆっくり夢を見つけていこうと思ってる」



オレがそう続けると沙菜はパッと顔をあげた。



「私、医者になる」


沙菜の突然の言葉に驚く。



「心音やちーちゃんを見ててね、重い病気の人達を元気付けたいと思ってるの」



「いいじゃん。頑張れ!」



そう言ってオレは自分の手と沙菜の細くて小さい手を握った。