「えーっと、雪崎。ちょっと職員室まで来てくれ」



帰りのHRが終わった時、沙菜が担任に呼ばれた。


沙菜はチラッとオレの方を見て「ゴメンね」と口パクで言った。



部活のミーティングが思ったよりも早く終わったから昇降口で沙菜を待っていた。



数分後、沙菜が歩いて来た。



「ゴメンね?待たせて」



沙菜が申し訳無さそうに謝ってきた。



「平気。先生と何話してたの?」



「進路の事。進路調査の紙、私だけ白紙で出してたから」



「何で?沙菜頭いいからどこの大学でも入れそうな気がするけど」



オレが聞くと沙菜が苦笑いした。



「今までね、大人になってからの事なんて遠い未来のように感じてたの。
だから、進学とか就職とか意識したこと無かったの」