「沙菜!」


背後から声がして振り向く。

そこには愛しい人が自転車に跨っていた。



「コウ!部活帰り?」



「うん。帰ってたら沙菜っぽい人がいて声掛けたら本当に沙菜だった」



ニカッて笑う彼が愛しくて思わず抱きついてしまった。



「ちょっ!さ、沙菜?!」



顔を真っ赤にして驚かれた。

当たり前だよね。
自分から抱きつくなんて初めてだったもん。



「ふふっ。ゴメンね?
何かコウに会ったらホッとしちゃって」



笑顔で告げるとコウが私の背中に手を回してきた。



「ううん。嬉しいよ・・・」



「大好きだよ・・・!」





抱きしめあう私達の姿を優しい満月の月明かりが照らしていた。