「さっきのは嘘。 俊ちゃん…すごくよかったよ…」 「――えっ?」 一瞬、耳を疑ったが、それは、はっきりと俺の耳に届いた。 振り返ろうとした俺を、華奢な腕がギュッと止めた。 「お願いだからこのまま聞いて…。俊ちゃん……ス…キ…」 「麻美ちゃん…」 背中越しに感じる麻美ちゃんの体温が暖かくて、俺の気持ちをすっぽりと包んでくれた。 麻美ちゃんは、ジェットコースターの如く、俺の気持ちを揺さ振る。